バブルの崩壊にともない顕在化した膨大な不動産不良債権。ここ数年は政府の指導もあり、その処理も加速してきました。
金融機関などの債権者による不動産不良債権の流動化による最終処理は従来、おもに 2 つあります: 競売と任意売却です。
競売は、その開始が決定されて以降は手続きに債務者の希望を加味する余地はなく、その落札価額も (現在と違い以前は) 市価の 6-7 掛けなど非常に安くなっています。また、裁判所により事件扱いとなるため、処理の完了まで時間がかかります。さらに当然のことながら、裁判所により粛々とおこなわれる手続きなので、基本的には債務者や居住者が落札者から一定の立ち退き料や転居費用を担保してもらえるとは限りません (最終的には提訴により強制執行されます; 落札者は債務者にお金を貸した人ではないのです! 容赦はありません)。
これに対し任意売却は、債務者と担保権者との話し合い・合意を経て、不良債権物件を業者に売却するものです。そのため、売却価格は市場価格に準じるものとなります。これは債務者だけでなく債権者にとっても有利なことです。また、話し合いによるため、場合により残債務の返済方法や転居費用などをオプションしてもらうことも可能になります。
事実、ここ数年で、競売にかけられる物件は減少していると言われます。また、落札価額は市場価格と比べ異常といえる水準まで上昇しています。物件数が減ったのが事実であれば、それはひとつに、不良債権処理がそれだけ進んだということもいえるでしょう。落札価額の上昇の原因は、物件数が減少して入札の相対的な競争率が上昇したことに加え、「(以前は) 競売物件が市場価格よりかなり格安で入手でき、収益物件として利用できる」という話が一般個人にまで広まり、個人で入札に参加する人が増えたため、物件に応じた適正な価格がつけられなくなったということです。
債権者にとっても、面倒な強制競売より、不良債権物件がより高く迅速に売れる=回収率が上がるに越したことはありません。任意売却への流れは自然なものなのです。
(不良債権処理を元来の目的とし、)冷え込んだ不動産流通市場を活性化し、不動産の流動化を図る法制上の施策もはじまりました。従来の不動産投資というと、その対象は不動産そのもの - 土地や建物 - の購入でした。また、投資信託といえば、その運用先は有価証券でした。2,000 年に前後して法整備やルール作りがおこなわれ、「不動産投資信託」(REIT) がはじまりました: すなわち、不動産物件を最終的に証券化することで小口化し、投資家を募って得られた資金で不動産を購入し、その物件の売却益などの収益を投資家に配当するというものです。(つづく)
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